「着信」 岡田耕治
春の雲しばらく口に含みたる
顔つきを取り戻したる春の雲
むずむずとバレンタインの近づきぬ
学ぶ人に学んでいたり春炬燵
猫柳これから雨になると言う
遠くまで行き白梅を観て来たと
速力を取り戻したる白魚舟
春泥の底を浚えるシャベルかな
薄氷の時間が離れゆきにけり
指先に痺れが残り春の水
文体の明るくなりし大試験
掌を鳴らしちりめん雑魚を吸う
着信のランプが点り春セーター
様様なことばを貼って卒業す
テーブルを大きく使い春の月
*大阪府柏原市内の桐。
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