「水温む」 岡田耕治
体重を減らしてゆけば水温む
今聞いた名前を忘れ春苺
小松菜の茎のスタンプ届きけり
春の図鑑天から傷み始めたる
回転を保っていたり蝶の昼
くちびるよ鶯餅にほどけたる
まなうらへ春の日傘を開きけり
正面に海の現れ流雛
結髪の膨らんでくる流雛
白魚の数の命の通りけり
色紙をひらひらさせて蝶生まる
じっとしていられなくなり春の闇
春荒の想定をして旅鞄
真っ直ぐに残る寒さを北進す
哀しみを追いこして水温みけり
*上六句会会場:ホテルアウィーナ大阪。
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