落花生 岡田耕治
耳鳴よ蜩を浴びはじめたる
蜩や鳴き止みてより時の経つ
約束の時刻に絞り酢橘の香
枝豆をほおばるときは聴き役
青鷺や後ろを見せたままにして
声乾くほどに八月十五日
誰も居ない駅を始点に白木槿
ピアノソナタ澄む水の上に水を足し
低きまま遠くへ飛んで秋の蝉
蟷螂の今日何も食べないでいる
自らを浮き立たせたる秋の蝶
目覚しと同じ小鳥の来たりけり
高きより咲きはじめたる百日紅
バーボンは一人飲むもの落花生
目を閉じて繋がっており秋ともし
長き夜の己が体を掴みけり
*大阪教育大学天王寺キャンパスにて。
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