冬を待つ 岡田耕治
地芝居や腹ばいになり見ていたる
秋雨のしずくを散らし蛇の目傘
二時間の集中力を木の実落つ
それぞれを触れる影あり秋桜
檸檬の香鼻から吸って声に出す
花梨の実青く静かに待っており
書いて歩き歩いて書いて秋高し
走り出し野の末枯を近くする
枯蟷螂一眠りする位置につき
急ぐことを諦めている冬瓜汁
海の月ただ観るときを授かりぬ
真夜中の月回送の列車にも
久しぶりに朝食を食べ紅葉宿
冬近し大きなスーツケース鳴り
温め酒同じペースの乱れ出す
思い切り体を寄せて冬を待つ
*滋賀県膳所にて。
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