まばたき 岡田耕治
立て直すために視ており初時雨
セーターを出てまばたきを繰り返す
前足をうんと伸ばして冬日向
脚を折り構えていたる冬の蠅
冬日向涙の跡を残しけり
熱意あるふりをしている海鼠かな
木の葉髪落ち放題にしていたる
品書や初めに葱の天ぷらを
深く息を整えている障子かな
焼かれたる潤目鰯の濡れてあり
吾が顔を枯野が渡る車窓かな
タンカーが大きく見えて冬の海
傘がない体を包む時雨かな
質問を浮かべていたり石蕗の花
冬の月『風姿花伝』に辿り着く
*福島県只見町にて、大豆と小豆を干す。
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