ドッジボール 岡田耕治
冬に入るドッジボールの物語
白息や口を明るくしていたる
台本を抱えたままに冬帽子
夜泣蕎麦まずかんばせを包みけり
鰭酒や若い人ほど乱れたる
しっかりと見つめていたる寒さかな
全身を銀杏黄葉にしていたり
通勤のうなじを立てているマフラー
毛糸編む小まめに水を飲みながら
後ろから姿勢を保ち初氷
磨きたる靴の出てゆく時雨かな
冬鴉一羽のときは遊びける
皮衣背中を向けて歩き出す
喉の皺伸ばしてゆけり冬の空
冬干潟飛び降りて身を鳴らしけり長く手を握っていたる枯野かな
*神戸ポートピアホテルにて。
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