両眼が違うもの見る昼寝覚 野口 裕
句集『のほほんと』まろうど社。「右の眼に大河左の眼に騎兵」と書いたのは西東三鬼です。裕さんの右の眼と左の眼には、それぞれどんなものが映っているのでしょうか。三鬼は明視するために左右の眼に違うものを入れました。この句は、昼寝から覚めていく途中に違うものが眼に入っていて、それが何だかは書いていません。それを想像するより前に、違うものをそれぞれ捉えているアンバランスが気にかかります。裕さんはこのアンバランスを、「のほほんと」愉しんでいるのかも知れません。御出版、おめでとうございます。
*大阪教育大学天王寺キャンパスにて。
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