万両の高さ 岡田耕治
走っては歩き走っては白息
霜柱真正面を避けており
アルバムに長く留まりクリスマス
朝食をゆっくり食べて冬休
万両の高さまで行くことにする
腕を組むことのはじめのくしゃみかな
よく滑る道に出てゆく初氷
夜咄やこれから面白くなると
数え日の新聞薄く始まりぬ
返信が直ぐ来る人の十二月
玉子酒信じて信じられており
失いし人の声する冬木の芽
年惜しむ形見の万年筆を開け
対面すコートの裾が触れるほど
起きている間眠たき懐炉かな
*京都嵐山にて。
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