2018年2月11日日曜日

香天集2月11日 加地弘子、中村静子、澤本祐子ほか

香天集2月11日 岡田耕治 選

加地弘子
マフラーの隙間を塞ぎ直しけり
冬木立本気を出して隠れたる
寒禽や吾より先に声をあげ
体ごと吹かれて進む冬の蜂

中村静子
霜柱プリズムのまま崩れゆく
箸使うほどに老いゆき晦日蕎麦
採血の痕にじみ出る寒さかな
初糶の果てて隅まで水匂う

澤本祐子
鏡餅平たく大きくなっていし
寒波来る改札口を抜けてから
耳までを覆ってしまう毛糸かな
切干に翳りなき空続きけり

藤川美佐子
夫の忌を歩き続ける天の川
大寒の身にまといたる貼り薬
寒の水飲んでこつんと喉仏
一人乗る待合椅子の寒さかな

*守口市立さつき学園の屋上農園。

0 件のコメント:

コメントを投稿