香天集2月11日 岡田耕治 選
加地弘子
マフラーの隙間を塞ぎ直しけり
冬木立本気を出して隠れたる
寒禽や吾より先に声をあげ
体ごと吹かれて進む冬の蜂
中村静子
霜柱プリズムのまま崩れゆく
箸使うほどに老いゆき晦日蕎麦
採血の痕にじみ出る寒さかな
初糶の果てて隅まで水匂う
澤本祐子
鏡餅平たく大きくなっていし
寒波来る改札口を抜けてから
耳までを覆ってしまう毛糸かな
切干に翳りなき空続きけり
藤川美佐子
夫の忌を歩き続ける天の川
大寒の身にまといたる貼り薬
寒の水飲んでこつんと喉仏
一人乗る待合椅子の寒さかな
*守口市立さつき学園の屋上農園。
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