2019年7月14日日曜日

「多く読む」10句 岡田耕治

多く読む  岡田耕治

多く読むことのはじめの蚊遣香
さくらんぼほおばるリズムついてくる
息のない人と来ている蛍かな
満員の雫をしばる梅雨の傘
たこ焼きを売るたこ焼きの顔の夏
夏の雨後ろから風強くなる
いくつかの締切を告げソーダ水
夜歩く梔子の香を辿りつつ
同棲すトマトを砕く音を立て
共に視て話し始めるあめんぼう
*岬町識字学級にて。

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