2019年8月21日水曜日

香天集選後随想 浅海紀代子、石井冴の作品

花の坂昔の空へ登りゆく 浅海紀代子
「香天集」。春、「さまざまのこと思ひ出す桜かな」という芭蕉の句を超えるような句を作りたいと思います。桜に包まれた坂道を登っていくとき、作者はかつて誰かと登った、この先にある時間と空間を思い出そうとしています。「昔の空」という措辞が効いています。

燕子花ぼくらは個個に日を数え 石井 冴
「香天集」56号。鈴木六林男に「天上も淋しからんに燕子花」があり、師系においては燕子花を詠むことで師を想起させます。「ぼくらは」とは、六林男に師事した一人一人のこと。「個個に日を数え」て、固有の方法で習ったことを実践しようとしているのです。
*滋賀県庁にて。

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