手ぶら 岡田耕治
繃帯を時時濡らし夏の果
こんなにも熱かったのかリュックサック
秋に入るピアノの椅子の硬さから
立秋やズボンの中にシャツを入れ
美しく嘘ついている秋の海
太刀魚の目をうるませていたりけり
空足を踏んで近づく秋の坂
西瓜切る大きく息を吸い込んで
二人前残さず食べて敗戦日
蟷螂よ立ち上がれなくなることに
内臓をひびかせてゆく秋の蝉
赤色の未だ幼く盆の菊
秋の野を遊ぶ手帳のカバー替え
放射性物質検査さくら茸
発送を終えたる手ぶら桐一葉
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