まなうらのなみだそのまま髪洗う 夏礼子
悲しいことがあったのか嬉しいことがあったのか、目に涙を残したまま髪を洗うことになりました。髪を洗ったからといって、この思いが消えるわけではありません。でも、こうせずにはおれない自分を静かに見つめるもう一人の自分がここに。
八月の誰も流れていない川 木村博昭
香天集57号。 川に何も流れていないのは、よくある光景です。しかし、「八月」という季語によって、例えば原爆の投下された直後の川を想起します。誰も流れていないという状況が、貴重なものであると思えると同時に、誰かが流れてくるような予感をはらんでいます。
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。
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