寺門 岡田耕治
橘寺三句
ことごとく書き出すことにして紫苑
紫式部影と光を吹き寄せて
酔芙蓉二つの顔を持つことに
四天王寺四句
空襲を免れた門鳥渡る
澄む水の二河白道を渡りけり
敗荷の三つの石にたどり着く
正座して浴びる光の冬隣
曼珠沙華低きは開き残りたる
一日に十回笑う尾花かな
朝霧や時計の時刻合わせ合い
口紅の残るグラスの酢橘かな
鶏頭やまたネクタイを締めはじめ
再びを撮りに戻りて銀杏の黄
秋の暮吊り荷の下に入るなと
カレーパン食べる力と後の月
*四天王寺にて。
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