2020年1月5日日曜日

香天集1月5日 中嶋紀代子、前塚かいち、浅海紀代子、夏礼子ほか

香天集1月5日 岡田耕治 選

中嶋紀代子
空っぽの鳥籠に吹く空っ風
寒雀餌を撒く顔を覚えたる
鼻筋の整う人の冬菫
一瞬の光みさごが魚を捕る

前塚かいち
卵巣を取られし猫と冬日向
愚図という範疇にいて冬温し
綿虫の着地点なる児童帽
綿虫は掬って捕れと伝えけり

浅海紀代子(11月)
ポケットの木の実拳を解きたる
小春日や本を背負いて友の来る
寝不足の母が起き出す十二月
何ごとも無くて布団の手足かな

夏 礼子
皇帝ダリア自転車を駆る女学生
ひょんの実は金沢育ち抽斗に
バス停の裏は近道枇杷の花
十二月八日歯ブラシ買い換える

北川柊斗
蒼空に亀裂走れり冬の鵙
寄り来る綿虫こころ萎ゆる身に
冬木立黙して並ぶオフィス街
十二月そそと巻尺まき終へる

朝岡洋子
コーラスのセーターは白シューベルト
燃えし日の色残したる冬紅葉
いつよりか老の歩幅に花八ッ手
はじけるは朝寝雨戸の横時雨

釜田きよ子
手も足も達磨になって着ぶくれる
人の世を普通に生きて注連飾る
ティファールでお湯を沸かして去年今年
お砂場でトンネルを掘る三日かな

浅海紀代子
小春日を遊び切ったる眠りかな
通り過ぐきたなきことば十二月
無信心聖夜の町に遊びいて
歳晩の暗がりに目を開きけり

河野宗子
冬紅葉湯舟の窓を拭きており
寒風やスマートフォンを忘れ来て
黒猫の目力光る冬木立
冬襖仁王立ちして落羽松

羽畑貫治
上下とも全て義歯なり涅槃西風
ゆっくりと眠っていたし磯竈
ぞくぞくと列島凍る厚化粧
天も地も借り貸しなしに春の風

櫻淵陽子
初春や碁石の音の軽やかに
元旦の空どこまでも澄みにけり
深々と一礼をして初詣
初みくじ含み笑いをする二人
*岬町小島にて。

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