2019年12月30日月曜日

「着水」12句 岡田耕治

着水  岡田耕治

駅員の懐中時計しぐれ来る
枯はちす用心のため視ていたる
懐かしい人の名が出て花八手
聴診の電気ストーブ首を振り
赤鬼と青鬼が泣き年忘
冬木立親しきときを揺れいたり
何ものも負わずに渡り冬銀河
スピードの中のスピード冬雲雀
私とはこの白息のことならん
気にかかる記事を持ち寄り十二月
行く年の鏡半分ずつ映り
着水の速さを得たる木の葉かな
*京都嵐山にて。

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