水羊羹指の形に缶が濡れ
麦藁帽また会えるから泣かないで
開店ののぼりを立てて梅雨に入る
新しいヒントが並ぶ玉葱よ
五月雨の長椅子の距離鳴らし合う
夏暖簾顔から割って出て来たる
新樹光胸を濡らして水を飲む
夏草のまず抜かれたる不在かな
順番に休暇を取ってゆく麦茶
老いてゆくことの涼しき体かな
白靴や招待券の届きたる
遮りし光の溢れ麦の秋
閉ざされし店よかすかな夏灯
山法師の花の裏から空に入る
待っていてくれたる人の網戸かな
五島高資
おもてなしの心はもちろん、来訪者の感謝も伝わってきますね。網戸に「物の微」を、利他心に「情の誠」を感じさせる絶妙な秀句と存じます!!
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