2021年10月10日日曜日

秋の空鳶たちの距離深くする  耕治

 

桑本 栄太郎
 真っ青な秋晴れの高い天空より、鳶が羽ばたくことなく上空に舞う光景が想われます! 見上げれば何処までも深い秋の空です。

大津留 直
 今日は少し曇っているが、昨日は、どこまでも深い青空であった。そんな空に鳶が二三羽、舞っている。ふと、この空が鳶と鳶の間の距離を深めているのかもしれないと思う。そう思うのは、おそらく、歳と共に深まってゆく友人たちとの距離を感じているからなのだろう。芭蕉も「この道やゆく人なしに秋の暮」と詠っているような深い孤独感が感じられる。それは誰の所為というのではなく、秋の空、つまり、自然がそうさせていると感じられるほどに、深い。しかし、そのような深い孤独の中にこそ、共感や連帯も生まれる。鳶が舞うように、修練を続けていれば。

十河 智
 山間を通る高速道路を抜けて海へ向かうとき、例えば高松から鳴門、滋賀から鈴鹿を抜けて伊勢湾岸道へ、秋の空の広さと深さを感じます。晴れ渡る雲ひとつない青空は、秋そのものです。山はオレンジ色に染まり、青空が一層際立ちます。鳶のはるか向こう海上にも真上の空にも広い範囲で飛んでいるのが見えたり、想像もできたりするのです。事実はどの季節も変わらず飛ぶのでしょうが、見た感じは、鳶の飛翔の高低差に驚くのです。広広と、高く深く、何羽もの鳶が舞うのです。

仲 寒蝉
 晴れた日は裏の田んぼや原っぱで鳶がよく鳴いています。この句、空の深さが実感される表現ですね。

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