2021年10月17日日曜日

潮の香の満ちゆく釣瓶落しかな  耕治

 
桑本 栄太郎
 「釣瓶落し」は、多くは陸の景色が詠まれるところ、この御句では海辺の釣瓶落しですね。秋潮の穏やかな海辺で遊べば時の経つ事も忘れてしまいそうです。知らぬ間の海辺も夕景となってしまいましたね!

大津留 直
 この句を拝読すると、なぜか、たおやかな風を感じます。作者はその風になりきって、豊かな潮の香を運び、こんなに早い秋の落暉を惜しんでいる。まさに、これが、芭蕉の言う「風狂」だと思います。

仲 寒蝉
 以前、特急くろしおに乗って和歌山から潮岬まで行ったことがありますが、ずっと西日、ずっと海に向かって落ちて行く太陽を見ていました。これはあの海岸から見た風景にぴったりだと思いました。

十河 智
 私は瀬戸の海の子なので、立ち位置により西も東も見られます。昔は、連絡船から、島の宿の浜辺で、今は、本四連絡橋からの眺めでしょうか。朝日はその時間に走ることもなく、やはり印象的なのは夕陽。
 鳴門の海際の国道11号を走るときなどこの句の情景の中に溶け込む私がいる。

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