2022年2月20日日曜日

今週の3句 当人を呼び出す、パンの耳、パンチ効いてくる

 

当人を呼び出している風車  耕治
桑本 栄太郎
 一瞬にして、嘗て遠くの出先に於いて見かけた幼稚園のフェンスのぐるりに風車が立てかけてあり、一斉に回って居た光景を想い出しました。風車は春風を具現しているものであり、「家の中に居るより戸外は暖かくて心地良いですよ!」と呼びかけています。

仲 寒蝉
 「当人」が誰か、子供なのでしょうか。風車を持っているのは当人の方か、呼び出した方か。色々な場合が考えられると思います。例えば何かいたずらをやらかした「当人」を親か先生が呼び出したらその子が神妙に、しかし手には風車を持って出頭してきた、という場面など。


寒明ける厚く切りゆくパンの耳  耕治
大関博美
 焼き立ての食パンは、パン屋さんに「焼き立てですから」と切って貰えないことがあります。買ってきた一斤の食パンを少し緊張しながら今慎重にナイフを入れたところである。真っ直ぐに切れるようにと思いながら。「寒明け」は、立春のことですが、寒明けの嬉しさと「節」で分けられる冬と春に喜びを感じるように、食パンを切り分けてゆく。

十河 智
 「寒開ける」にあるぱっと明るい気分、それを以て朝食のパンを切る。一本買いの食パンの初めに入れる包丁が沈み込む様子が見えてきます。


如月のパンチ遅れて効いてくる 耕治
柳堀 悦子
 如月のパンチ🤛🤛
今年の寒さで去年痛めた肩の痺れがぶり返してきています。私にとっての如月のパンチは古傷の痛みです❤️ 暖かくなればと思うといきなりの寒波!パンチ効き過ぎです。

大津留 直
 「如月のパンチ」は寒さだという解釈とは別の可能性を試みます。もしかしたら、これは、先生が二月に選をなさった俳句のパンチなのではないかと思います。その俳句から受けた衝撃が、時が経つにつれて、大きくなることは、しばしばあることですから。もしかしたら、その俳句で使われていた季語がまさに「如月」であったのかもしれません。ともかく、俳句というこの短詩型の魅力の一つは、何といっても、その衝撃力・パンチ力にあることは間違いありません。それに対して、短歌の魅力は、その格調にあると私は思います。

大泉 志保
 非常におもしろいです。パンチはストレートではなくジャブのように思えます。如月にはなたれたジャブは桜の季節になってじわじわと効いてくるぞ!という戒めの句のようか気がして、年度末気を引き締めていきたいと思いました。

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