大関博美
立ち止まるために北窓を開く。
北窓を開けると春の日差しが眩しく部屋に入ってくる。
作者は、北窓を開くために立ち止まったのではなくて、立ち止まるために北窓を開ける。ここに大きな意図、動機があるのだ。立ち止まること、考えるために、北窓から入ってくる光が必要だったのかも知れない。
若い頃、ある人から言われました。何かわからない悩みが出来たら、その時は立ち止まって良く考えてと。
私などは、わからないことだらけで立ち止まりっぱなしかもしれず。
十河 智
「ため」がすごく気になります。意味を込めて俳句に入れるのですから、と考えるのですが、わかったとは言えないのです。「北窓を開ける」という行為にある開放感と,「立ち止まる」がうまく符合しませんでした。
いま年度末で学校関係のお仕事は慌ただしく煩雑。忙しさの中に空気を入れ替えたい気持ちが出た、そのことが「立ち止まるため」とされた理由かと思い至りました。開けることが第一歩なのですね。そこまで考えた時、この句を読むだけで、気持ち良い新鮮な空気の流れを感じました。新たな息吹、春が来ていると、胸が一杯になりました。
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