香天集12月25日 岡田耕治 選
中嶋飛鳥
大根を煮ており膝を曲げ伸ばし
冬木の芽老眼鏡の備えあり
鬼瓦四温の鼻を膨らます
冬日差し胸に移れる高野かな
安部礼子
生涯の入れ替わりゆく冬銀河
異なりを怖れて落ちてゆく木の葉
体毛を棄てた淋しさ虎落笛
雪の山絵本の巨人跨ぎけり
木村博昭
上京す銀杏黄葉と会うために
公園に昨日のボール霜の朝
河豚を糶る袋の中の熱き指
剪り矯めし枝の拳を冬天へ
楽沙千子(11月)
捨てきれぬ句帖の厚み焚火跡
悉く残せる句集爽やかに
秋晴の三角点を探しけり
瞑想の形くずさず枯葉鳴る
楽沙千子(12月)
甘い香の厨湯気立つ小豆かな
恒例の出来の違いし味噌作り
雑談の刻を忘れる小豆粥
網上がるふるさとの浜冬ぬくし
小島守
先に消え郵便局の冬灯
開戦日テレビニュースを分析す
年つまるイルミネーションイミテーション
隣り合い二重マスクの思い人
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