2026年3月22日日曜日

干からびしごんずい海へ泳ぎ出す 宮崎義雄

俳句物語(4)  岡田耕治 

干からびしごんずい海へ泳ぎ出す 宮崎義雄

 友人からラインで、岬町の小島漁港でメバルを三匹釣ったという写真が送られてきた。静かな春の海に浮子を浮かべ、缶ビールを飲みながらゆっくり過ごす友人の姿が浮かび、居ても立ってもいられなくなった。翌日、小島へ出かけた。午前中の用事を済ませたため、釣り糸を垂らしたのは午後の三時頃だった。

 最初にかかったのは、十五センチほどのごんずいだった。以前、別の場所で、ごんずいの胸びれの棘に刺され、激痛に襲われたことがある。その時は、棘を抜いたものの痛みが治まらず、友人に水筒の湯で消毒してもらい、ようやくひと息ついた記憶がある。それ以来、魚を掴むためのフィッシュグリップを携帯しており、それを使ってごんずいを掴み、口から釣り針を外して捨てた。

 昨日とは潮の流れが違ったのか、午後五時を過ぎてもメバルはおろか、何も釣れなかった。帰りの道の駅でメバルはなくてもガシラぐらいは土産にできるだろうと思いながら、片付けを始めた。そのまま車に向かおうとしたが、ふと気になって波止に目をやると、ごんずいが下段で乾き切っていた。

 死んでも毒は残るというので、靴先で海に蹴り出すと、ごんずいは一旦沈んだあと、背中を左右に揺すってから泳ぎ出したではないか。あの揺すりは、自らを励ますのもだったのか、それとも私への挨拶だったのか。


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