2016年10月4日火曜日

「星月夜」15句 岡田耕治

星月夜   岡田耕治

眼球を温めている秋日影
一瞬を見失いたる竹の春
菊日和張本人が現れて
大門に入ると回れる秋日傘
後先を忘れていたり鶏頭花
蔦葛動物園を走りたる
風の色双方の窓開けてより
吊し柿特には話すことのなく
眠りたる人に冬瓜もたらされ
それぞれの眼を持ちて小鳥来る
思うほど思い出せない花薄
布の靴花野の中を歩みたる
街中を急ぎ始めて秋の川
台風の話をもって別れけり
真っ直ぐに星月夜から降りてくる
*京都市内の店に置かれてあった鉢植え

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