香天集８月２０日 久堀博美、永田文、中辻武男

香天集８月２０日　岡田耕治　選

久堀博美
十薬よ怒りっぽくて悲しくて
空白のノートを広げ昼寝覚
幼年の輝きを持ち黒揚羽
忍冬いくら呼んでも届かない

永田　文
潮騒の調べのおこり貝風鈴
烏賊釣火境界線をまたぎつつ
西瓜切る種を星座の形にし
おさげ髪放ちつつゆく夏休

中辻武男
夏の月今日の怒りを宥めゆく
一撃の球の音して甲子園
夕日をば眺めていたり夏燕
そよ風が伝わってくる法師蝉

＊大阪府堺市内の教員研修にて。