秋田十六句 岡田耕治
田沢湖の秋を一周しておりぬ
この雲と時を過ごして秋の湖
目の底にこがねをたたえ秋の田よ
どこまでも信号のない稲の波
秋田式数学の問い小鳥来る
いぶりがっこ北の日差の香がする
スプーンを沈めてよりの新豆腐
ひやおろしなあんとなんと返盃す
一つずつ闇が息してきりたんぽ
虫の闇出湯の窓を湯で濡らし
秋高し国際教養大学の
二十四時間図書館の秋ともし
八万の蔵書の釣瓶落しかな
シートに着く客室乗務員の秋思
十五夜のベルト着用サイン消え
水澄んで我が身の水に加わりぬ
*あきた芸術村にて。
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