2019年6月30日日曜日

「手から手へ」12句 岡田耕治

手から手へ 岡田耕治

これからが良くなると言う蛍狩
手から手へ吹き零れたるラムネかな
水を打つ心後ろに置きながら
手土産の美事に曲がる胡瓜かな
夕立を帰りし子らのバスタオル
夏の海互いの息を聴き合えり
砂日傘海には入らない人の
窓からの明りの届く端居かな
短夜を短く深く眠りけり
百点に届かぬ子らの蝉の殻
ユニフォームの胸の名前と梅雨に入る
内臓を刺激して行く夕立かな
*大阪教育大での講義から。

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