2019年9月30日月曜日

「名古屋・白川郷」15句 岡田耕治


名古屋・白川郷  岡田耕治

 名古屋五句
二杯目に移る香りのひつまぶし
若松を老松に替え秋灯
水衣大きく広げ月を待つ
霧雨の一瞬に生れ名古屋城
稲妻や巨大迷路の中に居て
 白川郷十句
団栗を踏んで一生ものの靴
九十を超えたる背筋蓮の実
新蕎麦の技に順序のありにけり
本人に近づいている赤蜻蛉
天の川よく寝たと言う団長と
胃に移るすったて汁の新大豆
蓑虫のふくみ笑いをしておりぬ
口を利くことのなくなり秋桜
圏外となりし九月の森に居る
立ち位置を迷いはじめる案山子かな
*名古屋城にて。

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