十河 智
タクシーに乗るまでが大変だったのでしょうね。家とか駅前などの冷房の端っこで、待ってた訳ではなさそうです。暑さで参ってしまって、タクシー乗り場などとても探していられない疲れ様、でも田舎でなくても、流しのタクシーを拾うのはなかなか大変なのです。
やっと乗り込んだタクシーの冷房にほっと一息。反作用で、暑さのことが口をついて出るのです。人に会った、何かを言いたい、伝えたかった一番のことが、自分に襲いかかった「暑さ」だった。案外とみんな経験していて、あんまり俳句にはしない題材。却って新鮮に見えました。
大津留 直
この句の要は、「先ず」という措辞。この短い副詞のお蔭で、読者の想像がいろいろ展開していくのだと思う。不思議なことだ。「暑さ」という季語が、タクシードライバーとの会話の中で、独特の精彩を放っていることに注目したい。
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