引き受けるまでを見ており松の芯
紫木蓮深き花瓶を選びけり
人に会うことが薬と竹の秋
追い越した人に越される初音かな
春ともし學という字に羽のあり
覚め方の異なる人と春眠し
山法師ここに帰って来ることに
つくしんぼ演じる声の集まりぬ
待つほどに歩きつづける桜かな
本が本を呼び寄せている春ともし
風車海までの距離囃しけり
約束の時間を計り一番茶
春暁の今から少し寝るとする
その度の風をととのえ雪柳
桃の花弁当はもう着いている
泥棒に遭う人と見る干潟かな
停電を授かっており朧月
花便り風という字を大きくす
複眼のカメラが捉え朧の夜