2019年8月17日土曜日

香天集20句(56号) 岡田耕治 選

香天集20句  岡田耕治 選

ラムネ飲むトンチンカンに何もかも 岩橋由理子
春の水目が慣れてきて剥いてみる  三好広一郎
人間を大きく曲がりかたつむり   谷川すみれ
右の手で考えることソーダ水    玉記 玉
花の坂昔の空へ登りゆく      浅海紀代子
燕子花ぼくらは個個に日を数え   石井 冴
探られて春の出口の深くなる    渡邉美保
春の月ともに湯舟に浮きいたる   加地弘子
春の校庭羽ばたきそうな紙片あり  三好つや子
体さえあれば相四つ春疾風     森谷一成
風を待つ春の野げしの白き絮    中嶋紀代子
言葉持つ人の悲しみそれを抱く   柴田 亨
我回るほどに回れと風車      砂山恵子
ふらここや叱られしこと揺らしたる 西本君代
ぶらんこや雲は大きな穴をあけ   橋爪隆子
説法の頃合を見て蝶去りぬ     橋本惠美子
触れたきはメレンゲの角(つの)花の果 中嶋飛鳥
一日を無言で通す栗の花      宮下揺子
ひとひらのあと花びらのとめどなき 澤本祐子
小綬鶏やデスクマットの古葉書   辻井こうめ

「香天」56号 香天集から
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。

2019年8月13日火曜日

「薄」12句 岡田耕治

薄  岡田耕治

蝉しぐれ静かに時間減らしけり
新聞紙音立てて踏む裸かな
本の香にたちまち汗の乾きけり
学校に陰を増やして油蝉
青蜥蜴我より先に止まりたる
黒板の鎮まってあり朝曇
沈黙す扇子の香り受けながら
炎天を遠くから来し言葉かな
立秋のワイングラスを磨きけり
空を見る前に視ておく白朝顔
草の花プリンカップに活けられて
途中から届かぬ声の薄かな
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。

2019年8月11日日曜日

香天集8月11日 三好つや子、加地弘子、砂山恵子ほか

香天集8月11日 岡田耕治 選

三好つや子
プチトマトあぶない本を読み耽る
白木のおもちゃ白夜の鳥の匂かな
不定愁訴くらげの森を漂うよ
一秒の奥へ奥へと競泳す

加地弘子
蝙蝠を抜け出してくるサラリーマン
我の手をつつく茗荷の子でありぬ
夏木立バスがふわりと現れる
油虫われに気づいてからの時

砂山恵子
白南風やスケッチ帳の上に砂
夜の秋気づかぬほどに雨薄く
立秋や軽く土蹴る靴の音
天袋の奥に箱あり盆用意

橋爪隆子
水馬流れに乗りて流れざる
涼しさよ漢に席をゆずられて
ルームキーをテーブルに置き生ビール
宿題をよこぎってゆく夏帽子

北村和美
くすくすと丸い空気の蚊帳の中
引き出しに勢揃いして蝉の殻
登山靴早朝の紐しめなおす
お下がりの赤い浴衣に赤い紅

朝岡洋子
貼り出した防災マップ夏兆す
若冲の赤を見ており鶏頭花
日焼の子壁打ちの球テンポよく
水馬や水面の皺に輪を重ね

中嶋紀代子
国生みの朝曇りなり万歩計
喜多郎のおろちの曲よ日雷
夕菅や月の妖精降りてくる
鉛筆をとがらせており夜の秋
*万年筆で俳句を書くことにチャレンジしました。

2019年8月9日金曜日

「まなざし」15句 岡田耕治

まなざし  岡田耕治

点数が現れてくるソーダ水
元の木へ戻るまで飛び油蝉
泳ぎ出す遠くの方がよく見えて
たっぷりとトマトの香るスープかな
夏休全校児童六人の
父母のいつまでも居て木下闇
揺らしけりこの白南風を逃がすため
夏氷馴染ませてゆく腹の虫
定点を影渡りゆく西日かな
別れようこの焼酎を飲み切って
ぱたぱたと坊主頭を洗いけり
ネックレス光る汗かと見つめたる
麦の穂を掲げ講義のはじまりぬ
スペインのワインを選ぶ夕焼かな
まなざしや水蜜桃の残りたる
*大阪教育大学天王寺キャンパスにて。

2019年8月4日日曜日

香天集8月4日 玉記玉、渡邉美保、森谷一成、宮下揺子ほか

香天集8月4日 岡田耕治 選

玉記玉
白蓮が濡らした三脚のニコン
投げたのに重たい蜻蛉の目玉
短夜の鏡を侵すジャズバンド
逝く夏や十指ひとつひとつに根っこ

渡邉美保
遠泳のやうなさみしさ尺蠖よ
西日背には折紙の星増やす
あめんぼの影はなやかに集まれり
夏休怪談好きで宵つ張り

森谷一成
軍刀の反らぬ一振り明易き
視線わが背中を行(めぐ)る沖縄忌
ここまでの渦とさだめし蝸牛
すっぴんを遊ばせており黴の家

宮下揺子
防災用ヘルメット買う百日紅
夕立来る踏み絵のような飛び石に
履き心地悪い下駄なり夏の月
パスポートどこにも行かず夏了る

釜田きよ子
蛍火や人うすうすと消えゆけり
黴匂う少年の日のグローブよ
喜怒哀楽鳴き分け蝉の恐るべし
朝採れの胡瓜まっすぐ褒めらるる

安部礼子
血液がなくなることを滝しぶき
金魚ひとつただ生くことを見せつける
ガラス風鈴水飴舐めているように
夏草の露  少年の藁草履
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。

2019年8月3日土曜日

「百日紅」10句 岡田耕治

百日紅  岡田耕治

向日葵の誰も住まなくなる時間
肥えている写真の中のサングラス
蝉時雨自己肯定を続けたる
一日に一つ捨てゆく百日紅
燕の子乾いた土の匂いして
新しい手帳が届き梅雨あがる
白南風に遺らない骨遺る骨
低調な話になってビール飲む
目的のくるくる変わり熱帯夜
じゃがりこを銜え始まる夏休
*大阪教育大学柏原キャンパスにて。

2019年8月1日木曜日

香天紹介



◇「香天」ご案内

 「香天」は、2009年1月に岡田耕治が創刊し、代表を務める俳句誌です。
 私たちは、学ぶことは生きることであると捉え、互いの俳句を学び合うための「見晴らしのいい場所」をめざしています。

◇「香天」のきまり

① 機関誌
 「香天」を年4回発行します。
 インターネット上に「香天」を開設し、俳句鑑賞代表作品「香天集」を毎週公開します。

② 香天集
 「香天集」へは、毎月1回5句以内を投句フォーム・メール・FAX・郵送の何れかによって投句できます。
 選句結果は、機関誌及びインターネット上の「香天」で確認することができます。

③ 購読料
 インターネット上での閲覧や投句は無料です。
 機関誌の送付を希望される方は、1部750円とし、年額3,000円の定期購読をお願いします。

④ 同 人
 「香天集」で活躍した作家、または同人から推薦のあった方を同人とします。
 同人は、「同人集」に自選7句を発表することができます。

⑤ 見本誌
 見本誌を希望する方、購読者で機関誌を2部以上希望する方には、1部500円で送付します。(切手可)

⑥ お振込
 購読料・同人費・見本誌代は種別を明記し以下へお願いします。
 郵便振替番号 00970-6-225468 加入者名「香天の会」

メールは、次のアドレスの、★の部分を@にして送信してください。okada575★gmail.com