皮衣 岡田耕治
ゆっくりと立ちあがりたる冬帽子
アルマーニの好きな媼の冬日向
羽蒲団詩の神様が来ますよう
ぶら下がることを愉しみ冬の蝶
最後まで残しおでんの茹玉子
引き剥がす背中とホットカーッペット
冬の滝心拍数を上げて着き
畳みたる店を出て来るちゃんちゃんこ
仏飯の静かに冷めて冬の菊
皮衣羽織りて加速していたり
空っ風押し行けば押し返し来る
かんかんと電気ストーブ赤くなる
一時間かけて食べたる大根かな
ちちははのもうやってくる十二月
*奈良駅にて。